春綴り/小ネタ

 長谷部のしゃがむ、という動作は、鶴丸にとって長谷部が抱き上げてくれる、という合図に等しい。廊下を歩く長谷部の隣、カソックの裾を掴んでぺたぺたと歩く鶴丸は、しゃがんだ長谷部の背中に満面の笑みで抱き付いた。廊下に落ちていた誰かの落とし物であろうハンカチを拾うためにしゃがんだ長谷部は、そんな鶴丸に甘えため、と笑う。
「…おいで、雛」
「!」
 両手を広げた長谷部に鶴丸の金眼が星のように煌めく。弾丸のように懐に飛び込んでき鶴丸を受け止めた長谷部は、鶴丸を抱え上げて首に懐く鶴丸をあやしながらまた歩き出した。

*

 赤くなったまろい頬。わくわく、どきどき、そわそわと輝く金の瞳。両腕を精一杯に広げて鶴丸は長谷部を見上げた。
「はせべ、おいで!」
 うん?と首を傾げた長谷部がしゃがみこんで鶴丸を抱きしめれば、いっそう輝く金眼に見上げられる。
「つかまえたーっ」
「つかまってしまったなあ」
「そうだぞ、ひながつかまえたんだから、はせべは今日はひなだけのはせべだからな!ひなしかぎゅってしちゃいけないんだ!」
「おや、俺は雛しかぎゅってしたことないぞ?」
「…!ほんとか!?ひなだけか!?」
「雛だけだ、うれしいのか?」
「うん!はせべはずっとひなのはせべーっ」

*

「さびる………」
「錆びない。あっこら!鶴丸!ちゃんと温まれ!」
「ううううう」
「唸っても睨んでもだめだ。おいで、雛」
「………はせべが抱っこしてくれるか?」
「雛は甘えたすぎないか?仕方のないやつだな………抱っこしてやるから、おいで」
「ん」